「四季を感じる空間へ」を設計コンセプトとした東京・世田谷にある建築設計事務所

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空間・部屋づくりのアドバイス

空間・部屋をどの様に構成していくか?考えるのか?という問いかけに「その仕切り方」にテーマを絞ってご紹介したいと思います。皆さんのご計画の参考にしてください。

床の素材

床の素材異なる床の素材を配置することによって、空間の意味づけをする。
フローリングに絨毯・ラグを引いて、人をそこに集わせたり、大理石の床・階段に赤い絨毯をひいて、人の流れを誘導・調整したりと意外に見受けられます。
和室の床の間は、その典型でしょうか。畳と同じ高さであっても、畳とは異なる素材ということでその意味は、そこに明確な空間の差別化がなされています。

また、あえて同じ素材を使って空間を仕切るのではなく、つづきの空間を持たせる方法もありますよね。室内と屋外を同じ床材を使って広がりを持たせたりする。これは、意味づけとは逆の作用です。
異素材で人の流れ・動きを抑制・制限する。これが空間的な見えない仕切りとなって、空間の意味づけがなされたものだと思います。

吊り下げる

吊り下げるカーテンや他の吊物で空間の分割をする
日本には古くから、天井から吊るすものが、多くあるように思えます。暖簾(のれん)御簾(みす)、簾(すだれ)、蚊帳(かや)。平安時代の宮廷建築から続くもの・商店には欠かせないもの・今も民家に伝わるもの。数多く使用されていますね。

それぞれ特有の機能を持っていて、外と内を仕切る・区別する、人のいる空間といない空間を仕切る、明るすぎる光を調整して必要な光の量にする・光の量の違う空間にして仕切る、外敵から身を守る空間に仕切る。
部屋の間仕切りを全てカーテンで行った、ユニークな仕切り方をもつ住宅や、対面キッチンを来客のために一時的に隠すためのロールスクリーンなどいろいろな使い方ができるのが吊物のよいところでしょう。
ただ可動は出来るといっても視覚的・物理的に仕切ることには、代わりはないので、その空間の動線をよく考慮して、配置すべきでしょう。せっかくの開放感のある空間を作ってもそれひとつで視覚的には広がらなくなるので、そのバランスを考えるようにしましょう。

家具の機能と配置

家具の機能と配置両側から使用できるシェルフ(収納棚・書棚)・ソファーの向き・オープンな食器棚といった家具を用いて、一つの空間に視覚的・心理的クッションを与え物理的にしきる事なく、人の溜まる場所をつくっていく。
リビングとダイニングが同じ空間で隣り合わせにくる時、両側から使えるシェルフ(収納棚・書棚)をその間に置く事によって視線をある程度遮る事ができます。

ソファーの置く位置も背もたれをどの方向に向けるかで、座る人の視線の方向が変わりますから、空間をしきるのと同じ効果があります。
ベットも実は空間を仕切る事ができます。ヘッドレストの高いベッドを使えば、オープンなワンルームも一つの空間(寝室)ととらえる事ができるでしょう。
これらの手法は、一つでも複数でも可能ですが、複数のときは、動線を考えて配置しましょう。

空間の明暗

空間の明暗どの範囲を・どうやって・どのくらい明るくするか?
明るさも空間と同じで感覚的・主観的な要素が大きい部分ですが、日本では部屋全体明るくしようとする照明計画が多いように見受けられます。この場合ですとメリハリのないのっぺりした表情のない空間になりがちです。必要な場所に効果的な光・明かりを選ぶことが、機能性と空間の心地よさを作り出すよい照明計画だと思います。

明るくする必要のない空間を作ることで、視覚的に光の明暗ができ空間をしきる手法にもなります。食事をするとき、ダイニングテーブルを照らし、リビングやキッチンの光を落とすと自然と会話や食事に集中できたりしませんか?
しかしこれを大きい空間でやろうとするとわびしくなりがちなので、スタンドライトや壁付け照明を使って寛げる明るさにすることも大事です。
同じ照明の数で調光器を使って明るさを調整しながらいろいろなシーンを演出することも出来ます。
照明の配置や強弱をコントロールしてを空間の明暗をつくりだし、仕切る効果をもたらします。

床・天井の高低差

床・天井の高低差床・天井に段差をつけることに意味付けし空間を仕切る。
お客様をお招きするとき「おあがりください」や「敷居が高い」というような表現は日本で高低差に対する仕切り方が昔からあることを意味します。人の目線は、わずかに高くなるだけでも見えてくる空間の感じが変わります。車に乗ったときの目線。馬に乗ったときの目線。空間の認識は視覚でその9割を判断しているからです。その目線の高低差(視覚の変化)を作ることで空間を仕切ることが出来ます。床に高低差を作ることで、視線は変化します。

天井を一段下げることで閉鎖的にし、親密な空間を作り出す方法。
個室の飲食店が落ち着くのは、その空間の閉塞感だったりします。「こあがり」と呼ばれる一段高くなった畳敷きの間も同じようなことがいえます。
ただこの高低差は、その空間のバランス・動線を十分考慮しないと使い勝手の悪い雑然とした空間になりやすいため注意が必要です。

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